難しい問題を簡単な問題に置き換えてしまう問題

人は複雑な問題に直面したとき、知らず知らずのうちに難しい問題を簡単な問題に置き換えてしまう傾向があります。採用面接を例にとってみましょう。採用面接において、面接官は「この人物を採用することが自分の組織にとってプラスになるか」という難しい問いに直面します。この問いに対して適切な答えを出すためには、応募者の経歴・業務遂行能力・コミュニケーション能力・職場での相性など複数の項目について総合的に判断する必要があります。

そこで面接官は、本来複雑で難しい問題を「応募者は感じがいい人物か」といった簡単な問題に置き換えて合否を決めることになります。実際、以前勤めていた会社で私が採用された理由について社長は「ケーススタディのときにすごく落ち着いて答えていたので、これなら任せられるだろうと思ったから」と言っていました。採用面接のケーススタディでは、想定していない問題が出されて自己採点では100点満点で50点くらいの解答しかできなかったと記憶しています。しかし落ち着いている様子が評価されて採用に至ったのです。

シンガポールが貧しい国だった頃、当時の首相は海外からの投資を呼び込むために何をしたと思いますか。空港からホテルに続く道路を入念に整備したのです。シンガポールに投資すべきかどうか判断するためには、シンガポールの政治・経済・社会情勢などを分析する必要があります。投資家にとっても非常に大変な作業になります。

一方で、空港からホテルに続く道路は、視察にきた投資家の目に留まりやすい。投資家は「シンガポールに投資すべきかどうか」という複雑な問題を、知らず知らずのうちに「シンガポールの道路は整備されているか」という簡単な問題に置き換えてしまったのかもしれません。

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