経験豊富なビジネスマンに「売上と利益の違いがわかりますか」という質問したら、「馬鹿にしているのか?」と思われるかもしれません。しかし、実業家のリチャード・ブランソンは50歳になるまで売上と利益の違いを理解していませんでした。ブランソンは20代のときにヴァージンレコードを立ち上げ、セックスピストルズやカルチャークラブなどの人気ミュージシャンを擁するイギリスで有数のレコードレーベルへと成長させました。その後30代でヴァージン・アトランティック航空を設立。世界の主要都市に就航するまでになりました。その他、金融・飲料・携帯電話など多数の事業に参入しています。
ブランソンが50歳のときのことです。幹部会議に参加していた役員の1人がブランソンが売上と利益を混同していることに気付きました。役員は彼を会議室の外に連れ出して、海の絵を描き「網の中にいる魚が利益、網の外にいる魚が売上だ」と説明しました。ブランソンは社会人一年目で習うようなことを50歳になるまで知らなかったわけですが、彼は多数の企業を傘下に収める成功した実業家になることができました。ブランソンは経理や財務のことはまったく詳しくありませんでしたが、それらが得意な人に任せて自分は会社を成長させることに専念したのです。
2021年2月期の決算で34期連続増収増益を達成したニトリの創業者である似鳥昭雄は、接客が苦手でした。そこで彼は接客を妻に任せて、自分は得意な仕入れや店作りに専念しました。似鳥は後に「得意なことに専念できたから会社をここまで大きくできた。もし接客が得意だったら地元の家具屋さんで終わっていただろう」と語っています。ちなみにこのエピソードは似鳥の著書「運はつくるもの」から引用しています。カンニングをしたり、先生に付け届けをしたり、配達先でビールを飲んで奥さんに怒られたり・・・従来の経営者の半生記とは一味違った滅茶苦茶なエピソード満載で面白いです。
2人の経営者のエピソードに共通するのは、「苦手なことは得意な人に任せて自分は得意なことに専念する」ということです。小中高くらいまでは、勉強にしても生活にしても「苦手なことを克服しよう」と言われて育った人が多いと思います。しかし、大人になっても苦手なものというのはそもそも向いていない可能性が高いのです。向いていないことに貴重な時間を使って、ようやく人並みくらいになるくらいであれば、得意なことに力を入れてその分野のスペシャリストを目指した方がいいでしょう。