本当は効率が悪いマルチタスク

翌日の会議資料を作っている最中に、顧客からの電話がかかってきて打ち合わせ、電話中に部下が持ってきた書類を確認して承認印を押し、別の顧客からの問い合わせメールに返信して資料作成に戻る。この間、顧客との電話打ち合わせは同時並行で進行中。電話が終わったら資料作成に本腰を入れる・・・このようにいくつものタスクを次々と処理する「マルチタスク」をしている人は仕事ができるように見えます。自分がマルチタスクをこなしているときは、世界一優秀なビジネスマンになっているような錯覚に陥ることでしょう。しかしマルチタスクは実は効率が悪いことがわかっています。
そもそも、人は同時に複数のタスクをこなすことはできません。同時にこなしているように見えて、実はシングルタスクを細かく切り替えているだけなのです。2つのテーブルがあって、片方はルービックキューブ、もう片方は知恵の輪が置いてあるとしましょう。5秒おきにテーブルを移動して、ルービックキューブと知恵の輪に交互に取り組むことを想像してみてください。両方をクリアするのに、それぞれ1つずつ順番に取り組むよりずっと多くの時間がかかるでしょう。ロンドン大学でおこなわれた研究によると、マルチタスクを行った被験者はIQが15ポイント低下し、8歳児の平均値まで落ち込みました。
マルチタスクよりもひとつずつタスクを処理するシングルタスクの方が効率的です。問い合わせメールの返信を作っている最中に「●●の件で確認したいことがあります。至急返信を…」という新着メールがポップアップ表示されると、気になって画面を開いてしまいます。新着メールを確認して、返信した後で対応途中だった問い合わせメールに戻るのですが「あれ、どういう内容だったっけ・・・」。内容を忘れてしまったので思い出すことに時間を費やしてしまう。マルチタスクによる弊害の一例です。80%完了していた作業が、途中で割り込みが入ることによって70%に逆戻りしてしまったのです。
こういった割り込みを防ぐ方法の一つが、ポップアップ表示をさせないということです。「吉田さんからの新着メール:明日の定例会議の件」「佐藤さんから起案の申請が上がりました」「経費の申請が承認されました」・・・このようなポップアップがひっきりなしにパソコン画面左下に表示されると、集中力が阻害されます。表示をクリックすれば、今やっている作業が中断されて効率が落ちてしまいます。また、クリックせずに今の作業を続けたとしても、「どういう内容なんだろう」と気になって集中力が落ちてしまいます。集中してひとつのタスクに取り組むために、パソコンのポップアップ表示はオフにしましょう。本当に一刻の猶予もない案件であれば、相手は直接声をかけるとか、電話をかけるなど別の手段を取るはずです。安心してオフにしてください。

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