チャールズ・デュヒッグ著「習慣の力」によると、習慣による行動には3段階のループがあるといいます。第1段階は「きっかけ」で、次は「ルーチン」です。これはきっかけに反応して起こる慣例的な行動や思考です。最後が「報酬」です。犬の「お手」を例にとると、飼い主が「お手」と言って、犬に手を差し出すのが「きっかけ」になり、犬は「ルーチン」として前足を飼い主の手のひらに乗せます。そうすると飼い主は「報酬」として犬を誉めたり、なでたり、餌をやったりします。
以前のブログで、新しい習慣を定着させるために、既存の習慣を「きっかけ」として利用する方法を紹介しました。しかし、それだけではうまくいかない場合もあります。
「毎日30分筋トレをする」という目標を立てたものの、なかなか根付かないとしたら、すぐにもらえる報酬がないことが原因かもしれません。習慣のループ、第3段階の「報酬」はすぐにもらえるものの方が望ましい。将来の1万円より今すぐもらえる1000円の方が好まれるのです。毎日30分の運動を1か月も続ければ、目に見えて体型が変わってくるでしょう。しかし、1日運動しただけでは効果はほとんど感じられません。そうすると、脳は「運動したときの報酬がない」と判断して習慣のループを断ち切ってしまいます。
すでに定着している習慣というのは、たいてい即時性のある報酬が存在します。毎日しっかり歯磨きをすれば健康な歯を維持できますが、それだけでは歯磨きを習慣として根付かせるには不十分です。歯磨きをするたび口の中は泡に包まれ、終わると歯はツルツルになり口の中はスースーします。これこそが毎日歯磨きをする原動力になるのです。泡立ちが少ない歯磨き粉や、スースーする成分がない歯磨き粉は「磨いた気がしない」ということであまり売れないそうです。多くの人は、歯の健康のためではなく歯磨き後のさっぱり感を求めて歯磨きをしているというわけです。
運動の話に戻ると、それを習慣として定着させるために運動直後、自分自身に何らかの報酬を与えるようにしてみましょう。例えば、運動後に好きなドリンクを飲むとか、風呂に入るとか。「運動が終わった後のプロテインシェイクがうまいんだよなー。楽しみだなー」という状態になれば、習慣として定着するでしょう。