2010年に認知神経科学者によって、被験者に回転するスロットマシンの映像を見せて脳の反応を調べるという実験がおこなわれました。被験者の半分は、ギャンブルで仕事や家庭に悪影響を及ぼしている重度のギャンブル依存症で、残りの半分は趣味の範囲内でギャンブルをする程度の一般人です。
この実験で2つの面白い事実が判明しました。1つは、ギャンブル依存症の人は勝ったときに一般人よりも興奮するということです。スロットマシンの絵柄がそろう映像を見ると、感情や報酬に関わる脳の部位が活発に動き出したのです。本当に金を賭けているわけでもないのに。さらに、ギャンブル依存症の人は「もうちょっとで当たり」というニアミスのときも、脳が当たりのときと同じように反応しました。一般人は、ニアミスでも負けは負け、と認識していて、脳はあまり反応しませんでした。
ギャンブル依存症の人はニアミスを体験すると、「もう少しで当たりだった。さらに続ければ当たりを引けるだろう」という思考をするのだと推測されます。ギャンブルの胴元側は、このギャンブラーの性質を理解したうえで、ニアミスが多く出るような仕掛けを施しています。パチンコでも、「スーパーリーチ」という仕掛けがありますね。あれも、たとえ外れても「惜しかった」と思わせてゲームを続けさせる側面があります。
条件反射制御法というギャンブル依存の治療法があります。病院内で、パチンコやスロットなどの実機をおいて、患者に遊ばせます。もちろんプレイ代はとりません。当たりが出ると、実際に玉やメダルがジャラジャラと出てくるのですが、それで終わりです。換金はできません。遊んでもただ玉が増減するだけ、という経験を繰り返すことで、ギャンブルをしたいという欲求をなくしてしまおうという治療法で、一定の効果が確認されているそうです。