「あげる」の正しい用法を考えてあげる

最近気になってしょうがないのが、補助動詞「あげる」の使い方です。Weblio辞書で検索してみると、

(補助動詞)動詞の連用形に接続助詞「て」が付いた形に付いて、主体が動詞の表す行為を他者に対し恩恵として行う意を表す。

と記載されています。

例文1.母親の家事を手伝ってあげる。
例文2.そこまで言うなら教えてあげよう。

例文1では主体が手伝うことによって母親が恩恵を受けることを示唆しています。例文2では主体が教えることによって教えられた方が恩恵を受けることを示唆しています。「~てあげる」という言い方は、時に恩着せがましい印象になってしまうので通常は目上の人には使いません。例えば、上司に対して「手伝ってあげましょうか」とは普通は言いません。この場合、「お手伝いしましょうか」といった表現が適切でしょう。

上記のような使い方ではなく、「誰のためにやってあげているの?」と疑問に思ってしまうような「あげる」の使い方をする人もいます。例えば、調理方法を説明するときに、「お肉をタレによく漬け込んであげてください」などという言い方をよく耳にします。動作の対象である肉への配慮なんでしょうか。しっかりタレが漬け込まれても、肉はありがたくないでしょう。「その肉を食べる人のためにタレを漬け込んであげるんだ」という解釈も成り立たなくはないですが、自分で食べるために料理している場合は説明がつきません。

よくスポーツクラブに行くのですが、インストラクターが「バーベルを胸まで降ろしてあげてください」「プロテインはホニャララのタイミングで摂ってあげてください」などと言っているのを耳にします。更にわけがわかりません。その人の胸とか胃腸に配慮しているんでしょうか。「行動をする人」と「行動の影響を受ける人」がイコールである場合、補助動詞の「あげる」は使えないと思うのです。「理系に進むなら数学を勉強してあげなさい」という言い方はほとんどの人がおかしいと思うでしょうし、こんな言い方をしている人はいないでしょう。こういう言い方がインストラクター界隈で流行っているのでしょうか。「胸まで降ろしてください」だと、ちょっと直接的すぎる。そこで、本来の意味は無視して補助動詞の「あげる」をクッションにして丁寧感を出しているのかもしれません。

「xをyに代入してあげて・・・」こんな言い方をする数学教師がいます。これは極め付きにわけがわかりません。実体のない概念である未知数への配慮なんでしょうか。他の教科ではあまり聞かないんですよね。数学関連のyoutube動画をよく観ているのですが、この言い方が出てくると気になって解説に集中できなくなってしまいます。

本来の意味と違う使われ方をする補助動詞の「あげる」。今後の動向に注目してあげたいものです。

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