セレブってどういう人間?

言葉の使い方で気になることが出てくると、深掘りしたくなる性分です。いろいろ気になる言葉はあるのですが、今回は「セレブ」という言葉を取り上げてみます。

「セレブ」は英語の「celebrity」から生まれた言葉です。 「celebrity」 の意味をweblio英和辞典で調べてみると、「名声、高名、(マスコミなどをにぎわす)名士、有名人」と書かれています。一般的に日本で使われている定義と微妙に異なりますね。日本では、「金持ち」とか「富裕層」といった意味で使われています。英語の方の意味に従えば、どれだけお金持ちでも無名であればセレブではないですし、月収10万のボロアパート暮らしでも誰もが知る有名人であればその人はセレブです。おそらく、海外、特にアメリカのエンターテイメント業界のスターが「celebrity」と表現されて、テレビや雑誌などでその豪華な私生活が紹介されている間に、金持ちぶりの方がフォーカスされ、次第にセレブの定義が変わったという経緯があったのかもしれません。

ある婚活サイトには「セレブな相手と結婚したい」という見出しが躍っています。たぶんここに集まっているのは、有名人と結婚したいというよりはお金持ちと結婚したいと思っている人たちでしょう。また、多くのネットニュースにおいてセレブというワードが「富裕層」といった意味合いで使われています。

■セレブが本来の意味では使われていないネットニュースの例

・〇〇容疑者も派手なセレブ生活に憧れがあったのだろうか。
・〇〇容疑者は上京後もSNSに高級ブランド品や海外旅行などの”セレブツイート”を繰り返し投稿していた。
・セレブの住む街、〇〇〇〇にはもう一つ闇の顔があったのだ。

※実際のネットニュースを参考にして作った架空の例文です。

ネットニュースの例を見てみると、割とネガティブな記事が多いですね。

セレブが本来の意味とは違う使われ方をする理由の一つとして、「使い勝手がいい」ということが挙げらます。「年収は高くないけどコツコツ貯金と運用でお金を殖やして貯金は5千万円。今でもぜいたくせずに郊外の安い賃貸で質素な生活を続けている」という人は、たとえお金持ちでも「セレブ」とは呼ばれない気がします。一般的にメディアがセレブという言葉を使うとき、そこには「金持ち」「富裕層」という意味の他にも、「豪邸、あるいは高級マンションに住んでいる」「都会で洗練された生活を送っている」といったニュアンスが込められています。そういった様々な意味合いを端的に表現できるちょうどいい単語が「セレブ」なのではないでしょうか。

鼻セレブ」というティッシュペーパーがあります。一般的なティッシュよりもいい素材を使って、鼻をかんでも鼻が痛くなりにくい商品です。値段は少し高めですがヒットして、2020年には日本ネーミング大賞を受賞しました。この商品が「鼻成金」「鼻金持ち」といった名前ならここまで売れていなかったでしょう。ここまで浸透すると、もはや「セレブ」は語源を超えて新しい日本語になったといえるかもしれません。

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